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耐え難い1ヶ月


 サッカーアジアカップで日本の敗戦が決まった時、

 「ここで喜べない代わりに拘束された日本人が助かれば。」と、

願掛けにも似た想いを巡らせたのは僕だけだったのだろうか。


 パリの事件から始まり、2015年は悲劇からのスタートとなった。


 僕はムスリムでもないし、特定の宗教の信仰はしていないが、

日本にいるムスリムの人が肩身の狭い思いをしないか心配している。

 イスラム教徒=ISIL(イスラム国)かのような考え方は、

ヒンドゥー教徒やヨガの行者をオウム真理教の信徒と言うのと同義だ。


 ISILは国でもなければもはやムスリムでもない。

まさに世界規模のオウムのようなものだろう。


 今回の事件で、憲法改正の論議が進んで、

自衛隊が邦人救出に当たるようになりそのうち戦争に参加できる憲法に

変わっていくのでは、という声もある。


 戦争の参加には勿論絶対反対だ。戦争に正義は無い。

勝ったほうが双方犠牲を出す代わりに正義と呼ばれるだけ。


 イラクでのPKOで自衛隊が他国の軍より親しまれ感謝された理由は、

武器を持たず高圧的でなかったこと、地域の人の心に土足で入っていくような

事をしなかったからだ。


 いくら邦人救出の為とはいえ、武力を持って他国に入れば

『自衛隊』なんて憲法解釈上の都合の良い呼び名は消し飛び、

『日本の軍隊』とみなされるだろう。

 危険地帯での自衛隊の活動を武器なしでどう守るのかも

時折論議されるが、やはり武器を持って他国に入るのは壁が高いと思う。


 何かあった時にその国の軍や警察に任せられるのであれば

それが一番だが、その為に政府は常に情報収集をしないといけないのでは、と思う。

 他国との情報交換・情報収集をもっとしておけば、湯川さん後藤さんの

救出活動もよい方向に進んでいたかもしれない。


 後藤さんは「何が起きても責任は自分にあります。」と、語っていた。

いくら自己責任だと声を挙げても、国の財産である国民を守るのが

やはり国の責任であり義務なのだ。

 自己責任で片付くなら、遊泳禁止の海で溺れる人は助けなくていいことになる。

さすがにそれは出来ないだろう。


 世界との距離はどんどん近くなっている。


 昔より気軽に海外へ行けるようになったし、ネットで世界中の人と

より簡単に繋がる時代になった。

70年も前の憲法だと不都合な事もあるのも事実だろう。

 更に、ISILの動画の声明でテロの脅威は以前ほど対岸の火事ではなくなった。

過敏に動揺することはせずにいたいが、日本が、日本人が

平和を維持する為にどうして行くのか、改正なのか、他の方法を模索するのかを

僕らはもっと真剣に考えるべきだと思う。

隣の国にとやかく言われる筋合いはない。



 少し視点をずらした話になるが、

ISILは大きなブーメランを2つ投げた。


 1つは後藤さんの奥さんにコメントを言わせた事。


 ISILは様々な要求を押し付け、動画を配信し、

日本とヨルダンの連携を切ろうとした。

 ヨルダンパイロットの救出の声と、夫を救出して欲しい

妻の声で世論を混乱させるつもりだったのだろう。

 ISILは、自分たちの要求と政府に救いを求め

泣き叫びながら嘆願する奥さんの声を予想してたはずだ。


 他国の人ならその確率も高かっただろう。

だが、発せられたのは湯川さん家族への慰めの言葉、夫とパイロットへの祈り、

そして支援してくれている人々と両政府への感謝の言葉。


 驚いたはずだ。予想外だったに違いない。


 夫が帰ってくるはずの家で言う言葉ではない。

後ろで鳴いてるインコの声が余計にそう思わせた。

 しかし、その気丈な振る舞いが両政府の間に溝を作らせなかった。

ご家族を想うと心が痛むが、ジャーナリストの妻、

そして日本人らしい、努めて冷静な心配りのある言葉だったと思う。



 そしてもう一つはパイロットを焼殺した事。


 空爆を仕掛けた敵とは言え、相手もムスリム。

拘束したパイロットを米英に騙された『同志』 として扱えば

ヨルダンを揺さぶる事は出来たかもしれないが、

今回の動画は完全に他のイスラム諸国を敵に回した。

ましてやあの動画はニュースを見る限り全部アラビア語だったので、

イスラム諸国への警告なのだろう。完全に裏目だ。


 この二つの出来事はブーメランとなり、自分達の首を絞める事になるだろう。


 本音を言えば憎しみの連鎖は避けたいところだが、

この事で皮肉にも欧米と中東が同じ方向を向く事になりそうな予感がする。

 ISILが壊滅しても残党が世界中に散らばるのではという心配はあるが。

 今回の事は本当に残忍で痛ましい出来事だ。


 もし、無理にでもこの暗闇からかすかな光を見つけられるとすれば、

何もなくても普通の暮らしが出来るこの国に生まれてきた事に感謝して

残酷なものがあるから真逆の命と愛の尊さ平和の大切さを

世界中の人々が再認識出来たことだろうか。


 そうでも思わないととてもじゃないがやりきれない。




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6 Comments

ボス。  

偶然!!
後藤さんの、あの場面を未編集で見ちゃったんですよ。
怒りと悔しさで、涙が出ました。

2015/02/06 (Fri) 18:48 | REPLY |   

アースガイド  

ボス。さん

> 偶然!!
> 後藤さんの、あの場面を未編集で見ちゃったんですよ。
> 怒りと悔しさで、涙が出ました。

 同感です。
 なんともいえない気持ちになりました。

 

2015/02/09 (Mon) 07:31 | REPLY |   

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2015/02/09 (Mon) 19:21 | REPLY |   

ウォーリック  

私はまだ

ショックから立ち直っていません。
あんなにも自分の生活からはかけ離れたところにあるもの
にもかかわらず、です。

動画はおろか、画像だって見ていませんが、
私にはむしろ日本のネット民のバッシングの方がこたえました....

もう随分経つんですけど、ダメですねぇ.....

2015/02/09 (Mon) 21:06 | REPLY |   

アースガイド  

ウォーリックさん

> ショックから立ち直っていません。
> あんなにも自分の生活からはかけ離れたところにあるもの
> にもかかわらず、です。

 更新されてもよい頃なのに、だいぶ応えてらっしゃるのでは?と、
 思っていましたが・・・。

> 動画はおろか、画像だって見ていませんが、
> 私にはむしろ日本のネット民のバッシングの方がこたえました....

 確かに色々ひどいですね。クソコラグランプリとかは画像によっては
 えらいことです。

 それを褒めるフランスもどうかと思いますが。

> もう随分経つんですけど、ダメですねぇ.....

 海外をより身近に感じられる方には余計にくるのでしょうね。

2015/02/12 (Thu) 04:28 | REPLY |   

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2015/02/14 (Sat) 19:35 | REPLY |   

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